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魔法のメガネ


  私の田舎は高知県の山奥、吉野川の支流を四国山脈に向かって上り詰めた過疎の村です。小学校は全校生徒100人足らず、複式学級がある小さな、小さな、村の小学校でした。そんな小さな学校の運動会の思い出です。

 運動会は今と違って10月に行われていました。秋の取り入れが終わってほっと一息入れられる農閑期に行われるので、おじいさん、おばあさん、両親と、家中の人が集まって来て、一周100メートル足らずのトラックの周りは村の人たちで大にぎわいでした。運動会はまるで村の一大イベントのようでした。

 入退場門の飾りつけには桧の葉を使い、村の人が手伝いにきてくれました。子供たちは万国旗を廊下に広げて、傷みがあれば修繕しました。今では万国旗を飾りつけした運動会なんてお目にかかりませんが、その当時は運動会に万国旗はつきものでした。つきものといえば、お弁当には巻きずしがつきもの、競技にはマスト登りがつきものでした。

 さて、楽しいはずの運動会ですが、たった一度だけ悲しい思い出があります。何年生の時だったか忘れましたが、運動会に両親が来てくれなかったことがありました。事情は分かりません。「どうして?」と問う私に父はこんな風に言いました。「お父さんは魔法のメガネを持っている。それを持って木に登ったら運動会が見えた。○○が頑張っているところが見えた」と。そんな説明で納得したのだから、きっと低学年のできごとだったのでしょう。

 魔法のメガネは私も持っていました。それは子育て真最中の頃でした。職場の行事と重なって子供の行事に行けなかったとき、しばしば魔法のメガネが登場しました。私の二人の娘たちはどこまで信じてくれていたのでしょうか。

 「魔法のメガネを持っている」と言った父はもう亡くなりました。今でも魔法のメガネで私のことを見てくれているのでしょうか。

 体育会の時期がくれば思い出す、ちょっぴり悲しい思い出です。



                
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